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浪江町の復興に向けた国への要望活動をしました

要望活動実施日

平成28年7月12日(火曜日)

要望活動先

・原子力災害現地対策本部

◆浪江町役場本庁舎にて           
    高木陽介原子力災害現地対策本部長へ要望書を手交する

要望の主旨

本年3月4日に与党復興加速化本部から「『東日本大震災 復興・創生期間』のスタートに向けた決意」が示され、今後5年間の「復興・創生期間」における重点的な取り組みに関する決意が示されました。

このメッセージに掲げられた取り組みはいずれも重要な取り組みと考えますが、町議会として政府に特に取り組んでいただきたい事項について、以下のとおり要望します。

 

要望事項

1 原子力被災地の帰還・復興

町は、帰還の第一ステージとして、まずは、放射線量の比較的低い地域の復旧を進めつつも、当該地域を復興の足掛かりとして、徐々に町全域の復旧・復興を進め、「オール浪江」としての帰還を果たすことを最大の目標としています。

平成29年3月に避難指示解除を目指すとしても、帰還困難区域を含む全ての地域で帰還の道筋がつかなければ、一部町民に対して避難を強いる状況が継続することになるため、真の帰町とは言えません。

また、避難指示解除準備区域及び居住制限区域に居住していた町民でも、それぞれの事情(高齢や健康上の理由等)により、避難指示解除がされた際に帰町したいという気持ちは強くとも、やむを得ず帰町できない方が大勢います。それらの方々の生活安定を確保できなければ、真の帰町を宣言することはできません。

・国は、29年3月に、避難指示解除準備区域と居住制限区域の避難指示解除と示しているが、その後も医療費免除、税の減免措置、高速道路通行無料化、原発避難者特例法に基づく特例事務等、被災者に対する現状の支援措置は、町として真の帰町を達成する段階まで継続すること。

2 政策決定

・政府の政策決定は、住民の生活にきわめて重大な影響を及ぼし、各個人の人生を左右することとなることを肝に命じ、いかなる政策も、住民全体の最大利益にかなうよう、科学的にかつ冷静に企画・立案・実施すること。

3 「復興・創生期間」について

・「復興・創生期間」は5年間と定められていますが、浪江町を含め浜通りは5年で復興を完遂することが困難であることを踏まえ、「復興・創生期間」にとどまらない、国としての支援体制の整備・財源を確保すること。

・財源面では、震災復興特別交付税により、「復興・創生期間」においては、人口減や産業流出等の理由よる税収減収分の補填を含め、被災自治体の実質的な負担はないが、この措置を自治体の行財政が平時のとおり運用できるようになるまで継続すること。

・交付税算定における原発被災団体の人口特例措置等について、被災自治体における行政サービス提供の枠組みが確定するまでは、「復興・創生期間」に限定せず現行の特例措置のまま運用すること。

・避難者の生活が一定程度安定するまで、住民票を移動させなくても行政サービスが受けられるように、原発避難者特例法に基づく特例事務について、当分の間継続すること。

・復興交付金、福島再生加速化交付金など復興に係るハード事業交付金については、町の復興計画に沿った整備が完了するまで、財源メニューとして継続すること。

・さらに、財源の確保のみならず、実際に必要なマンパワーを集中的に地元自治体・商工会・まちづくり会社等に派遣し、現場で起こっている問題解決にあたらせる具体的な人材派遣スキームを構築すること。

4 医療、介護・福祉を担う人材の確保

・高齢者が安心して生活できる生活環境を実現するため、地域医療サービス、介護・福祉サービスが確実に提供できるよう、それらを担う医師や看護師、介護福祉士等の人材を確保する体制を整備すること。

・双葉郡内における二次医療施設を早急に整備すること。

5 教育環境の整備、文化的資産の保全・継承

・子供たちの安全・安心な教育環境を整備し、文化的資産の保全・継承のための支援を行うこと。

6 中心市街地の再生

・町の顔となる駅前広場を整備すること。

・区画整理事業を確実に実施すること。

7 産業・生業の再生に向けた具体的支援

・帰町して事業再開する者に対するランニングコストの支援を実施すること。

・町内で再開した事業者からの物品購入を促進するための利用補助制度や、地元再開事業者からの物品・サービスの購入を促進する地域振興券等の取り組みを導入すること。

・浜通り地域における従業員の確保は困難であり、人手を確保するために遠方の避難先からの通勤を強いなければならない状況です。よって、通勤手当に充当される賃金加算に対する補助制度を導入すること。

8 帰還困難区域の復興の道筋

・国として責任をもって帰還困難区域の環境回復を進めること。

・夏までに示される、帰還困難区域の復興方針では、「地元自治体との協議の上で除染計画を策定する」よう明言すること。

・同方針の中では、区域内の農地保全を進めることも明示すること。

・復興拠点を中心とするまちづくり、地域づくりに際し、インフラ整備、生活環境整備等の公共的観点から行う除染を早期に実施することを、帰還困難区域の復興方針の中で明記すること。

・帰還困難区域における民間事業者の事業再開は、町の復旧・復興に資すると解されることから、そのために必要な除染は公共的観点から実施すること。

9 避難指示解除に向けた迅速かつ適切な取り組み

町が組織した「避難指示解除に関する有識者検討委員会」から、避難指示を解除するために最低限必要な取り組みとして、「最優先に取り組むべき16の課題」を提言されました。

16項目には、除染、放射線相談体制の強化、インフラ整備、再開事業者の負担軽減等、避難指示解除後の生活に最低限必要な取組みが盛り込まれています。

・この16項目を確実に実施するための、国による財政的及び人的支援を継続・拡充すること。

10 除染・放射線対策

・町の長期的な目標である、1mSv以下の年間追加被ばく線量を目指し、国・県・町が一体となって、除染等による線量低減の取り組みの継続を確実に実施すること。

・除染後に住民の不安が解消されない場合には、住民の要望と現地の状況を総合的に勘案し、追加的な除染を速やかに実施すること。

・除染の状況、及び、町民の放射線に対する健康不安の軽減について、結果を含め、わかりやすく説明することができる相談体制を強化(人材の確保を含む)すること。

・中間貯蔵施設を早期に整備し、町内仮置き場の解消を図ること。

11 イノベーションコースト構想実現

(1)ロボットテストフィールド

・町の北棚塩地区に、無人航空機の離着陸試験用滑走路の設置が決定されました。本滑走路を活用し、企業や研究機関が試験を行うと同時に、製品開発や生産等を行うことができるよう、滑走路周辺に産業団地を造成・整備すること。

・当該産業団地は、無人航空機の試験・開発のみならず、自動車の自動走行等、先端的かつ将来性の高い技術の試験・開発フィールドとして活用することにより、国内外の多様なロボット開発に携わる企業や研究機関が集積する拠点として造成・整備すること。

・これら構想実現のため、財政を含め必要な支援をすること。

・先端的かつ将来性の高いロボット開発を進めるフィールドを開発するため、どのような要素が必要か、国、県、町が一体となり具体的に検討を進めること。

(2)水素社会実現モデル構築

本年3月27日に第1回福島新エネ社会構想実現会議が開催され、「福島新エネ社会構想」が具体化に向けて着々と進んでおり、また、その重要な柱の一つが「水素社会実現のモデル構築」と認識しています。

町は、本構想に協力し、水素の製造・貯蔵・運搬・利活用等の実証事業を行い、水素社会実現のモデルタウンとなることに強い関心を示しています。

・国と町で研究会を立ち上げ、具体的なプロジェクトの目的、内容、方向性について検討すること。

12 原子力損害賠償

・震災前の営業(就労)環境を回復すべく、不断の努力をしているにもかかわらず、震災前と同等の収入を確保するのが極めて困難です。減収による損害について賠償を継続すること。

・ADRセンターが提示した和解案を尊重し、速やかな解決を図るため、国が当事者に指導を行うこと。

13 廃棄物対策

・復旧・復興を集中的に進める期間中は、対策地域内で出る産業廃棄物を、国の事業として回収・処分を行うこと。

・既に設置している仮設焼却施設は、地元自治体が要望する場合、継続して設置することができるよう柔軟に対応すること。

14 農業再生に向けた対策、支援体制、助成制度の強化

「意欲のある農業者に対して・・・きめ細やかな対応」を行うとされているが、原子力災害被災地の農業者は、汚染された農地での営農に大きな不安を抱えており、そもそも再開すべきかどうか迷っている状況です。農業者が一歩を踏み出し、「意欲」をもてるような対応が必要です。

助成制度の強化は必要不可欠であるものの、その助成制度を活用して、有効な農地管理と運営、新しい農業を切り拓く能力を兼ね備えた人材の育成スキームを構築すべきです。特に被災地における、農業の復旧と復興には、技術的な習熟度とともに、関係制度、予算等における高度な知識が同時に必要です。

また、農業用水について、大柿ダムの湖底や河川に残留する大量の汚染物質の抜本的対策が必要です。当面、ダムにおいては濁度計による放射性物質対策を実施する予定ですが、頭首工においては対策が講じられていません。

・これらの用水系においても、放射性物質の流入を防止するための効果的な対策(河川の除染等)を講じること。

・復興を見据えた農業担い手の育成スキームを構築すること。

15 森林再生

・森林の放射線量低減に向け、除染を含めた技術の開発・実証等を、地域毎の実情にあわせて進めていくこと。里山再生のモデル事業を帰還困難区域内に所在する森林においても着実に実施すること。

16 漁業・水産加工業

・科学的なデータに基づく正確な情報と理解を世界に広めるための施策、予算を確保すること。たとえば、漁獲した魚の全量検査システムの構築等、安全に加え、安心を確保するための正確なデータを取得した上で、広報するシステムの構築を国としてリードすること。

17 災害対策に責任のもてる危機管理体制

・国が中心となり、県、町、原子力事業者とも連携しながら、避難等の判断ができる通報内容の検討や確実な連絡体制の整備をすること。

・現在の通報体制では、原子力事業者からの事象報告が主であり、県、町において、事象の意味や避難を含めた防護措置の要否を即座に判断できません。国は、その判断を加えた上で自治体に対し連絡するよう、危機管理体制を整備すること。

・廃炉作業の進捗について、きめ細やかな情報提供を地域住民に対して行う取り組みを継続すること。

 


国への要望事項のPDF版は、要望書 [PDFファイル/273KB]をご覧ください。

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