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浪江町議会報告第1号(平成23年6月15日発行)

議会報告誌発行にあたって(浪江町議会議長 吉田 数博)

 東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所の事故以来、町民の皆さんには県内外に避難を余儀なくされ、不自由な生活をされておられることと思います。特に津波で被災され、家は勿論、家族を失われた方々には、お慰みの言葉もありません。また、地震の後片付けもできず避難をされた皆さん方にも、このような理不尽な状況にあることに対し心を痛めております。原発事故の一刻も早い収束を願うばかりです。
 震災以来、浪江町議会の行動は別記のとおりでありますが、「原発事故は人災である。」との認識で、国策で推進した国の責任を求めて行動してまいりました。4月4日、郡内のトップを切り、国、県、東京電力への要請活動を行い、現在まで国会、内閣、福島県、東電本社に対し3回に及ぶ要請を実施し、特に5月18日には、菅首相との直接面談、要請を致しました。
 今後は、6月下旬に開催予定の定例議会に向けて県内外に避難されている町民の皆さん方のご意見を伺い、住宅、雇用、就学などの生活支援に係る施策の実施と予算の確保に努めてまいります。また、必要に応じ国、県、東電への要請を行うことも考えております。
 役場機能も職員の昼夜を問わない頑張りで、少しずつ正常化されつつありますが、まだまだ十分な町民サービスは難しい現状であります。町と議会は車の両輪であり、議会としての役割を果たすべく努力を重ねてまいります。
 今こそ、行政の役割が大きく期待されているときはないとの認識のもと、議会としても今できること、今やらなければならないことを全力でしっかりと対応してまいります。
 町民の皆さんには、全員で元気に帰町できるよう、気力、体力を失わず頑張って下さることを願い、報告誌発行の挨拶とさせていただきます。

 これまでの活動経過

これまでの活動経過

 郡内トップを切り国への要望活動  

 4月4日「東京電力福島第一原子力発電所の事故により、多くの被災者が生まれ、その生活に甚大な影響を及ぼしている。東日本大震災だけであれば津波による行方不明者の捜索や災害復旧に向けた取り組みが可能であるが、原発事故によりそれも出来ない現状である。事故は正に人災であり認可した国及び関係機関に対し誠意をもった被災者支援に早急に取り組むことを強く求める。」という強い立場で要望活動に臨んだ。 具体的な要望項目は以下のとおり。

  1. 事故の早急な収束と安全対策を求める。 
  2. 被災者支援の強化を求める。 
    ・国主導による被災者生活再建支援制度の原子力災害事項の追加もしくは新たな生活支援のための制度構築。
    ・休業保障の9割支給と経営者への同様の措置などの制度改正。 
    ・国主導による適正なスクリーニングの実施。
    ・自衛隊による遺体の収容と適切な埋葬。
  3. 原発事故影響の詳細な調査と情報開示を求める。
  4. 早急な行政機能の回復への全面的支援を求める。

 上記要望書を総務省に提出の後、午前中に海江田経済産業大臣と面談し同様の要請をし、次に鹿野農林水産大臣との面談では農業について町内一律の補償、家畜の適正処理等を要請した。その後県選出国会議員に支援要請を行った。
 各大臣等は要望事項に対し、一定の理解は示しており支援するという発言は戴いたが、解決すべき課題は山積しており、今後も継続した要望活動の必要性を痛感した。

 東京電力本社に抜きうち訪問

 午後からは東京電力本社を訪ねた。「今般の原発事故は人災であり、津波による被害だけであれば早急に復興に取り組めたが10キロ・20キロ圏外への避難を余儀なくされ、町民生活は深刻な状況にある。当町は地震・津波・原発事故・風評被害の四重苦に立たされており、また原発立地町とは明確に区分されており最大の被害者である。」という強い立場で要望ならず「要求活動」を行った。要望項目は国と同様だが、各議員から強い口調での問責があり,対応した東電社員に詰め寄る場面もあった。
 東電は内藤常務ほか4名で対応したが、その場では誠意ある回答がされず、4月6日まで文書による回答を求め、回答が無い時は何度でも訪問して要求する旨を告げて帰った。
 回答は遅れて4月10日になり、今回重要視した事故の基本認識については事故調査委員会により問題点が明確になり次第、経過を見て委員会に委ねるような考えを文書で回答してきた。

 4月6日に県への要望  

 国と同様の要望内容で、独自に議長からは、「県として、放置された家畜の対処等について早急な検討を願いたい。」との要請に対し、佐藤生活環境部長が「本来は市町村等が行うべきだが、避難指示等の区域にあり不可能であるので、国に早急に対応するよう要望していく考えである。」という回答を得た。

 再度東電本社を訪問  

 内容は4月10日の東電の回答に対して、不明・不足等があったため、再要望を含めた形で臨んだ。
 再要望事項は福島第一原発7・8号機の増設計画の撤回等5件であり、追加要望は以下のとおり。
 (1)避難指示区域の津波犠牲者捜索の遅れに伴う遺族への謝罪。
 (2)一時仮払金の4月中の支払いは確実なのか。
 (3)原発事故収束の工程表の実現は可能か。
 (4)役場機能回復による住民福祉向上に対する支援は立地4町と同様に行うこと。
 それぞれに対する回答は意見の平行線や意見の相違があり、十分に納得行くものとはなっていない。
 その他の要望として東京電力エリア内の避難者に対する電気料金の減免、仮払い事務に関する役場窓口事務支障への支援、仮払金の家族数に応じた支払い等々、計10件の質問・要望を行った。
 再要望活動の中では、特に事故の重要になると議会の方針を再認識した。

 5月18日再び国への要望活動  

 これまでの進みぐあいや現状を鑑み、また議会全員協議会での議論を踏まえて以下の15項目に係る要望活動を行った。

  1. 原発事故を一刻も早く収束させること。
  2. 原子力政策は国策であり、国が責任を持ち、特別法の制定により対応すること。
  3. 原発災害補償は、東電はもとより国の責任で全額補償すること。
  4. 放射線被害(風評も)はすべてを国の責任で全額補償すること。
  5. 借り上げ住宅は、災害救助法の規定にある「物による給付」の考え方を改め、財政的支援が出来るよう改正すること。
  6. 警戒区域等の事業経営者支援及び雇用対策、農林水産業支援の対応を。
  7. 出荷制限停止等、また中小企業者等の保障仮払いを早急に実施のこと。
  8. 避難先での高齢者等に対する医療・福祉・介護サービスの確保に努める。
  9. 避難生活の長期化に伴い、生活の根拠を失った被災者に対しては、仮設住宅等移転後も生活支援を確実に行うこと。
  10. 避難者に対する高速道路無料化の措置を図ること。
  11. 被災者の就労支援について、差別無く、優先的に雇用拡大を図ること。
  12. 津波による犠牲者捜索は、港内・海上でも早急に実施すること。
  13. 一時帰宅で、当町の場合開始に時間を要するので、車の持ち出しを認めること。
  14. 子供の将来に向けての保障を国の責任で行うこと。
  15. 災害での移動を余儀なくされた役場機能を回復するため、国が財政的支援を全面的に行うこと。

 要望先は菅総理大臣、片山総務大臣、鹿野農林水産大臣、細川厚生労働大臣、海江田経済産業大臣、三井国土交通副大臣となった。また岡田民主党幹事長にも面談した。それぞれの大臣等からは要望に対して前向きの発言があったが、特に総理からは原発の被災者支援に対して、新聞報道にもあったが「金が無いから出来ないとは言わない」との発言もあり、この日の活動は一定の成果はあったものと総括した。