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【町長メッセージ】令和5年 新年を迎えて
明けて令和5年 ご壮健にて新春をお迎えのこととお慶び申し上げます。
今年一年の皆様のご健康とご多幸を心からお祈りいたします。
皆さん、どのようなお正月をお過ごしでしょうか。ふるさとの復興は、未だ困難な道でありますが、素晴らしい町を創るため、皆さんと共に手を取り合い歩んでまいります。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
■昨年を振り返って
昨年における重要な出来事として「福島国際研究教育機構(F-REI)」の立地決定が挙げられます。この施設は、福島イノベーションコースト構想の司令塔として、また、町内にとどまらず、福島県全体の復興を支えるエンジンとして、創造的復興の中核に育てていかなければなりません。世界に冠たるF-REIを目指し、まずは国や県、周辺自治体とともに計画を進めてまいります。
そしてコロナ禍が続く中、3年ぶりに相馬野馬追が正規な形で実施されるなど、少しずつ町民同志の絆を深める取り組みが再開されました。子ども達との運動会や十日市祭り等、この上ない歓びでありました。
■帰還困難区域について
津島、末ノ森、室原の特定復興再生拠点区域では、昨年9月準備宿泊が開始され、3月の避難指示解除を目指して準備が進んでいます。一方、拠点区域外については、国から示された「2020年代には帰還を望むすべての住民が帰ることを目指し、必要な場所を除染する」との方針に基づいて帰還に向けた意見交換会が開催され、お一人お一人から安心して生活するために必要な除染範囲についてご意見を伺いました。これからも帰還を希望されるすべて方が安心安全に生活できるよう、町はしっかりと国との協議を進めていくとともに、地域の復興に向けた具体的な方策を皆さんと一緒に検討してまいります。
■ゼロカーボンシティ(脱炭素の町)実現に向けて
町は、福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)で製造される水素を中心として、再生可能エネルギーを活用したゼロカーボンシティの実現を目指しています。既に町内では、先進的な実証実験が多数実施されており、特に水素の実用化においては世界をけん引しています。
世界的建築家の隈研吾氏らとともに進めている駅前など中心市街地の再開発においても、町内で加工された木材を使った建物や、再生可能エネルギー地産地消の仕組みを盛り込んでいます。一団地事業として商業地域の再開発をすすめ、この地域から町内全体に賑わいを波及させてまいります。
福島国際研究教育機構立地の町として、環境に配慮した豊かで暮らしやすい町づくりを進めるとともに、浪江の子ども達が自分たちのふるさとを誇りに思うことができるよう、ゼロカーボンシティ実現に向けた先進的取り組みを世界に発信してまいります。
■これからの町づくり
町長就任から5か月が過ぎ、復興に向けた多くの課題も見えてまいりました。
農業発展のためには、収益性向上が重要です。そこで初期負担軽減のために育苗施設を建設しています。さらに、競争力の高い作物を生産するため、耕畜連携による地力回復を目指して復興牧場の建設に取り組んでいます。最新の技術を用いて臭いなど地元の負担を軽減するとともに、併設される研究施設での研修など、酪農業の振興とともに交流人口拡大に貢献してまいります。
皆様にご不自由をおかけしている医療・介護の面では、特に北双地域における相互連携を進めてまいります。各診療所の位置づけを明確にし、地域医療の中核として県立大野病院の再開を県に対して求めていくとともに、介護施設についても周辺の町村と連携、機能分担を図ることにより、地域として機能の充実を目指していく所存です。
■結びに
「子ども達の笑顔は私の宝です。」
町長として、子ども達の笑顔を守り、次の世代にふるさとを繋いでいく、その責任の重さを実感しています。これから私は、全身全霊をかけて、全力でその責任を全うし、必ずふるさとの復興を成し遂げます。
令和5年が皆様にとって素晴らしい年となりますよう、心よりお祈り申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。
令和5年1月元旦
浪江町長 吉田 栄光