本文
政府は8月31日、東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故に伴う帰還困難区域に関する方針を漸く決定した。
このことについて去る9月12日、原子力災害現地対策本部が浪江町議会全員協議会において、復興拠点整備など政府方針の骨子を説明され、意見交換を行った。
浪江町における帰還困難区域は、町の全面積の8割以上を占めていることはご承知のとおりである。
我々町議会は、「高濃度に汚染された帰還困難区域の復興再生に、たとえ時間的に、技術的に、財政的に未知の困難を伴うにせよ、避難解除が可能になるまで、政府は自治体や地域住民の要望を全面的に受け入れ、それを成し遂げる責任がある。」との認識を持つものである。
以下、政府方針に対する見直し、拡充を求めるのでその実現を強く要望するものである。
一、基本的な問題について
1 帰還に向けた道筋をつけるという意味で「復興拠点を整備する」との方針は理解できるが、それ以外、即ち市町村や地域住民が希望する里山除染及び森林再生事業など帰還困難区域全体の除染・復興について国の責任と方策が明確にされていないので見直し、拡充を求める。
2 政府方針が出された後に農林業の賠償について「素案」を提示されたが、「帰還困難区域」は政府自身が認めているように、時間的にも、社会的にも、特別な困難を伴うものであり損害への適切な賠償が必要であるので明確にされるよう見直しを求める。
二、具体項目について
(1)除染問題
復興拠点の整備にとどまらず、全面除染による低線量化を目指し、住民が安心して帰還できる状況にすること。
(2)除草及び保全管理
増加する通行車両の安全確保のため、国県町道の除草を年二回以上実施すること。
雑木が繁茂し、消滅の危機すら覚える故郷を見るのは忍びがたい。「復興拠点整備事業」着手以前に、集落の保全管理を徹底すること。
(3)有害鳥獣駆除の強化
サル、イノシシなど野生動物が異常繁殖し、荒廃に拍車をかけているので駆除対策を早期に強化すること。
(4)交流・生活支援
避難解除前でも活用できる一時休憩所・住民交流・情報受発信機能を備えた施設を整備すること。
避難先では、日々、健康と精神的不安にさらされ、震災関連死も継続している。高速道路の無料継続・医療・介護無料など恒久的補償を担保する法整備を行うこと。
(5)避難先での農業再開支援
帰還の見通しが不透明な状況にあり、避難先で農業再開する農家に対し農地取得や農業機械購入に対する十分な支援制度を創設すること。
※福島県及び福島県議会への要望書は、一部表現を変えております。
国への要望事項のPDF版は、要望書 [PDFファイル/167KB]をご覧ください。
東京電力ホールディングス株式会社は、本年9月に農林業への今後の損害賠償について、「平成29年1月以降の損害として年間逸失利益の2倍相当額を賠償し、2年後以降は個別対応」とし、実質2年で打ち切る素案を示しました。
この素案は、農林業固有の特性や避難指示区域毎の特性を全く考慮していません。また、これまで同様「個別対応」という加害者が被害者の請求を査定するという理不尽な内容となっています。
原発事故から5年以上を経過した現在でも避難指示は継続されており、たとえ避難指示が解除されても農林業再開の見通しは全く立っていません。
従って、農林業に係る損害賠償は、事故前の状態に回復するまで国・東電は賠償を継続すべきであり、それは加害者として当然の責務です。
よって、以下のとおり要望します。
1 国・東電は原発事故の被害を直視し、農林業に係る今後の損害賠償案を全面的に見直し、従来と同等の営農・営林活動を営むことが可能となる日まで賠償を継続すること。
※福島県、福島県議会及び東京電力ホールディングス株式会社への要望・要求書は、一部表現を変えております。
国への要望事項のPDF版は、要望書 [PDFファイル/94KB]をご覧ください。
平成28年11月4日(金曜日)
◆原子力災害現地対策本部
◆福島県
◆福島県議会
◆東京電力ホールディングス株式会社
◆原子力災害現地対策本部にて
◆福島県にて
◆福島県議会にて
◆東京電力ホールディングス株式会社にて