本文
【町長メッセージ】 令和5年二十歳を祝う会 式辞
皆さん、二十歳おめでとうございます。
二十歳という人生の大きな節目を迎えられたことを、心からお祝いいたします。また、今日まで皆さんを大切に守り、育ててこられたご家族の方々に、心よりお慶びを申し上げます。
こうして“ふるさと浪江”のことを忘れずに、人生の節目に集まってくださったことを非常に嬉しく思っています。
震災から十二年、小学二年生だった皆さんは、どのような日々を過ごしてこられましたか。それぞれが多くの困難を乗り越え、今日を迎えたことでしょう。皆さんが立派に成長し、この浪江の地で同級生との再会を果たされている様子を拝見しますと、本当に胸が熱くなります。
さて、皆さんは震災前の町をどれくらい覚えているでしょうか。
現在の町は震災からの復興を目指して、二千五十年までに実質的な二酸化炭素排出量をゼロにする再生可能エネルギーの地産地消の町づくりに取り組んでいます。町内に建設された「福島水素エネルギー研究フィールド」は、太陽光を使った水素製造施設として世界最大級の規模を誇り、その実用化に関し浪江町は世界をリードしています。自治体同士による世界初の取組みである水素パートナーシップ宣言を米国ランカスター市と共同署名し、新たにハワイ郡を加えた三者にて、米国エネルギー省のメンター・メンティープログラムに採択されました。また、世界的建築家の隈研吾氏らとともに進めている浪江駅周辺の再開発においても、木材を活かした隈先生のデザインと、再生可能エネルギー地産地消の仕組みを盛り込んで、町の歴史、文化が融合した暮らしやすい街並みを再生します。
さらに、福島イノベーションコースト構想の司令塔として世界水準の研究機関である「福島国際研究教育機構」の浪江町への立地が決まりました。この施設は、福島県全体の復興を支えるエンジンとなります。
こうした動きの一方で、帰還困難区域の、末森、室原、津島の特定復興再生拠点では、今春に予定されている避難指示解除に向け準備宿泊が始まっています。
町は今、未来に向けて加速していますが、「継往開来」そういう想いで復興に取り組んでいます。「継往開来」とは、先人の事業を引き継ぎ、未来を切り開くこと、過去のものを継続し、それを発展させながら将来を切り開いていくことです。先人が守ってきた大切なふるさとの地を、皆さんと共に手を取り合い、未来に向かって発展させ、誰もが胸を張れる町を創ってまいります。
皆さんの人生において、幼い日々の大切な時期を過ごした浪江での経験は、これからの人生に大きな軸として残っていくことでしょう。人生には、必ず山や谷がありますが「継往開来」、自分を信じ勇気をもって未来を切り開き、そして幸せになってください。
「皆さんは、浪江の宝です。」今どこに住んでいても、これからどこに住まいを持っても「皆さんは、浪江の宝です。」私はそう思っています。
結びになりますが、皆さんの輝かしい未来に幸多かれと祈念し、お祝いの詞といたします。
令和五年一月七日
浪江町長 吉田 栄光