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「浪江町の新しい水産業デザイン実現化事業」アンケート結果
「浪江町の新しい水産業デザイン実現化事業」では浪江町漁業の復興や新たな水産業の発展を目指し、新しい水産業をデザインする目的で、漁業関係者のアンケート調査を実施しました。アンケートは、相馬双葉漁業協同組合請戸支所の組合員、組合員のご家族、仲買人の合計209名の方にお送りし、124名の方からご回答をいただきました。
町では、今後、この調査結果を活用し、水産業デザインの検討を進めてまいります。
アンケート結果
1. 組合員の震災前の状況
1.1 漁業種別従事者
震災前に従事していた主漁業種は、組合員の回答者66名のうち、船曳網が最も多く、次いで固定式刺網、かごの順であり、請戸支所の漁業は非常に種類が豊富でした。
また、12名が、漁業以外の兼業として、農業、遊漁船の経営を挙げていました。
1.2 所有漁船
組合員の回答者66名のうち、震災前に1隻の漁船を所有していたのが61名、2隻の漁船を所有していたのが3名でした(2名は所有漁船なし)。漁船の規模は、総数67隻のうち、1トン未満が2隻、1トンないし4.9トンが39隻、5トンないし7トンが26隻でした。
2. 組合員の現在の状況
2.1 現在の漁船所有
組合員の回答者66名のうち、現在漁船を所有している漁業者は24名で、漁船を所有していない漁業者は39名でした(3名は無回答)。現在所有する漁船の内訳は、左図のとおりであり、その他の3隻のうち、2隻は「現在建造中」、1隻は「津波で流されたまま残っている」との回答でした。
2.2 漁船購入の予定
震災前に漁船を所有していたが現在は所有していない方39名に、今後の漁船購入の意向を聞いたところ、左図のとおりでした。
2.3 海中がれき処理作業への参加
組合員の回答者66名のうち、これまでがれき処理に参加したことがある方は33名で、参加したことがない方は33名でした。
2.4 モニタリング作業への参加
組合員の回答者66名のうち、これまでモニタリング作業に参加したことがある方は34名で、参加したことがない方は28名でした(4名は無回答)。
2.5 試験操業への参加
組合員の回答者66名のうち、これまで試験操業に参加したことがある方は27名で、参加したことがない方は39人でした。
3. 組合員の今後の意向
3.1 漁業再開の意向
今後の漁業再開の意向を聞いたところ、組合員の回答者66名のうち、再開すると答えた人が38名、再開しないと答えた人が4名、判断がつかないと答えた人が24名でした。再開すると決めている人と決めかねている人の割合は約6対4でした。
3.2 再開にとっての必要条件
漁業を再開すると答えた38名に対し、そのための必要条件を聞いたところ、最も多かったのは「請戸漁港の復旧」で、次いで「汚染水漏洩の抜本的対策」および「仲買人の事業再開」、「風評被害への対策」の順でした(複数回答)。
3.3 漁業再開に判断がつかない理由
漁業の再開について現時点では判断がつかないと答えた24名に対し、その理由を聞いたところ、最も多かったのは「放射性物質の影響」で、次いで「風評被害」、「後継者の不在」の順でした(複数回答)。
4. 家族の意向
4.1 漁業再開の意向
組合員家族の回答者42名のうち、再開する意向のある方が17名、再開しない意向の方が4名、判断がつかない方が20名でした(1名は無回答)。
4.2 再開後の生活
漁業を再開した後の家族の生活について聞いたところ、一家そろって暮らすと答えた方が17名と最も多く、一方で6名の方が漁業者である夫と離れて暮らすと答えています。
4.3 離れて暮らす理由
夫と離れて暮らす理由を聞いたところ、最も多かったのは「放射性物質の影響への不安」で、次いで「子供の学校などの教育環境の未整備」でした(複数回答)。
4.4 漁業再開後の不安要因
漁業再開後の不安要因を聞いたところ、最も多かったのは「風評被害による漁獲物販売への影響」で、次いで「漁業生産量や金額の維持」でした(複数回答)。
4.5 漁業再開に判断がつかない理由
漁業再開に判断がつかない理由を聞いたところ、最も多かったのは「放射性物質の影響」で、次いで「風評被害」、「年齢や健康の不安」の順でした(複数回答)。
4. 仲買人の意向
5.1 請戸漁港復旧後の事業再開の意向
仲買人の回答者16名のうち、請戸漁港の復旧後に地元に戻って事業を再開する意向のある方が2名、再開しない意向の方が2名、判断がつかない方が11名でした(1名は無回答)。多くの方が、判断がつかない状態にあります。
5.2 事業再開の条件
請戸漁港の復旧後、地元に帰って事業を再開するための条件を聞いたところ、多かったのは「生産設備の補償制度の充実」と「初期投資の融資制度の充実」でした(複数回答)。
5.3 事業再開に判断がつかない理由
請戸漁港の復旧後、地元に戻って事業を再開することに対して、現時点では判断がつかない理由を聞いたところ、最も多かったのは「風評被害で水産物が売れるかどうかわからない」で、次いで、「設備が再建できるかわからない」、「請戸漁港に漁業者が戻るかどうかわからない」と「住環境が不安」の順でした(複数回答)。
5.4 浪江町の水産業を盛り立てていくには
今後の浪江町の水産業を盛り立てていくために、どのようなことに取り組めばいいかを訪ねたところ、12名から回答があり、最も多かったのは「震災前の水産業の復旧」で、次いで「直販など流通の改善」と「新たな水産物加工品の開発」と「漁港や加工流通施設の改善」でした(複数回答)。
お問い合わせ先
「浪江町の新しい水産業デザイン実現化事業」委託先一般社団法人マリノフォーラム21
電話:03-6280-2793