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平成27年8月12日(水曜日)
・環境省
・復興庁
・原子力災害現地対策本部
◆原子力災害現地対策本部にて
※今回の要望は、正副議長と議会運営正副委員長のメンバーで実施しました。
平成27年6月12日に「原子力災害からの福島復興の加速に向けて」の改定が閣議決定なされた。
しかしこの内容は、原子力災害被災地の復興を進めるための、様々な取り組みの強化について掲げられている一方、現在の除染の進捗率は20パーセント程度であり、いまだ広範に高線量地域を抱える当町において除染精度が確保されていない等、復興整備に苦慮している実情が十分に理解されていないところが散見される。
今後、実態に向き合い、これまで以上に地域住民の協力を糧として、対策を加速・充実し、様々な課題に迅速に対応していくため、以下の点について反映されるよう強く要望する。
平成25年3月7日付けで原子力災害現地対策本部長から浪江町長宛て通知において、4項目の付帯事項が付記されている。
政府としてこれらを再確認し、一方的かつ全町一律ではなく当町の実情にあった解除時期とすること。
(1)復興の課題が山積しており、自治体の考え方を尊重して解除の見通しを判断すべきである。
(2)国が示す避難指示解除三要件のうち、特に子供達の健康を重視し、国の責任において早急に年間1ミリシーベルト以下の除染を目指し、確実な除染を行なうべきである。また、他の二要件の充足には自治体との綿密な協議により実行されるべきである。
(3)解除見通しの協議においては、廃炉・汚染水対策の現状も加味すべきである。
原子力災害被災地域においては今後本格的な復興期を迎える状況にあるため、イノベーション・コースト構想も含め「復興・創生期間」における十分かつ柔軟な財源の確保を強く求める。
また、福島第一原子力発電所の廃炉や除去土壌等の最終処分場への搬入までには相当な期間を要することから、「復興・創生期間」終了後も長期的にしっかりと復興財源を確保すること。
さらに、復興の加速にはそれを支える人員・人材が必要不可欠である。継続的かつ安定的な人材の確保策を求める。
(1)復興事業等の業務は始まったばかりであり、自治体の取り組みに十分配慮した人材確保をすべきである。
(2)平成27年度で終了するとした除染実証研究費を増額継続すべきである。
(3)インフラ復旧等、国が掲げる対策・支援等を含めた事業が道半ばであり、帰還環境整備交付金基金を平成30年3月で終了せずに、実情に合った期間まで継続運用すべきである。
(4)イノベーション・コースト構想における国・県が考える案と自治体が計画する案について、国からの一方的な提示ではなく、実情に合った地域創生の実現が可能となるための連携と協力を強化し、実現に向け十分な財源を確保すべきである。
(5)一次産業再生のため、中長期的な支援策や財源を確保すべきである。
(6)医療・福祉関係施設等の設置がなければ人材の確保が出来ない。早急に設置計画を示し、自治体・住民の意見を十分に取り入れるべきである。
「住民帰還に向けた環境整備のために平成27年度と28年度2年間を、特に集中的に自立支援施策の展開を図る期間」と位置付けているが、当町の状況においてはいまだ除染も完了しておらず、インフラ復旧もままならない状況である。被災地によって、復旧の進捗が異なることから、集中期を限定せずそれぞれの町村の現状に照らし合わせた自立支援施策の展開を図ること。
(1)国が実施する事業再開に関する調査は、帰還する住民や復興に関わる人たちのニーズを把握するために定期的に実施し、その結果を協議するときは、自治体、商工農林水産事業者等の実態に即したメンバーによる主体性を持った会議とすべきである。
(2)中小企業、商店等8000社以上、より多くの業種経営者の意見を直に聞き、取りまとめるだけでなく、再開に至るまで商工会等関係機関も交えて、細かく協議を重ねるべきである。
(3)帰還後、放射線量の地域格差が風評被害に至らないよう手立てを講じるべきである。
(4)販路開拓には民間活力を最大限利用するなど、国の責任において対策を講じるべきである。
就労不能損害賠償及び営業損害賠償については、原子力損害賠償紛争審査会の中間指針においていずれもその終期は「基本的には対象者が従来と同じ又は同等の就労活動(または営業活動)を営むことが可能となった日とすることが合理的である」と明記されている。
除染が始まったばかりであり、帰還の見通しがたたない当町においては、一律でこれら賠償を打ち切ることなく環境が整うまで賠償すべきである。
また、事業再開に際し、事業用資産の賠償の時価相当額を超過した修繕費用や代替資産の取得費用が発生していることから、事業者が再開しやすいようさらなる支援施策の構築や中間指針における「追加的費用」として賠償すべきである。
(1)東京電力株式会社に対する賠償等の指導が充足されず未解決の事例が多くある。また、当初より賠償環境が変化しており見直されるべきであるので、国指導による確実な実行を求める。
(2)営農・営業とは生活する収入源が得られて初めて成り立つものであり、地域性を考慮して全ての生業が達成するまで継続すべきである。
本年3月1日に全線開通した常磐自動車道について、復旧・復興に向けた交通量が増加や中間貯蔵施設への搬入車両の増加等を見据え、帰還に向けて住民生活の安全安心を確保するためにも複線化すること。
中間貯蔵施設への搬入ルートについて、地元の意見を重視したルートを確立するとともに、道路等の補修や拡幅等の措置を講じ、住民の安全、安心を確保すること。
(1)国道114号は今後行われる汚染土壌の運搬路となり、住民の生活道路としての役割を逸脱した道路となってしまう。住民の高齢化や分散した家族、住民との交流に際し安全に走行できるよう、早急に狭隘区間の拡幅整備等の措置を講じるべきである。
(2)津島方面への避難時には大渋滞を引き起こしたことから、当町から中通りにかけての「避難道路」として、また、高度専門医療を担う中核機関である県立医大附属病院と当町を結ぶ「命の道路」として、早急に整備すべきである。
(3)住宅等建造物の解体については、避難開始から相当な時間が経過しており所有者が使用に耐えられないと判断したときは、全額国費で処理すべきである。
(4)復興公営住宅の整備は住民が失望するほど遅れている。最重要事業として取り組むべきである。
(5)新たに住居等を確保しその地域に溶け込もうとしている町民と、地域住民のコミュニケーションが取れる環境を構築できるように、十分な協議を重ね支援をすべきである。
(1)帰還困難区域の除染(森林・河川・大柿ダム関連施設等を含む)を積極的に取り組むこと。また、森林から下流域の河川敷地と周辺地域への汚染が拡大していることを踏まえ、森林除染や土壌除染の実証研究を行い、早急に技術の開発をすべきである。
(2)帰還困難区域に暮らしていた住民の気持ちを大事にし、宅地・農地等の管理は定期的に実施すべきであり、早急に除染の工程表や今後の在り方について明示すべきである。
(1)これまで情報は後出しであり、当町は立地町以上に甚大な被害を蒙っている。国と東京電力株式会社はこの事実を認識し、立地町と同等の情報共有と復興への支援を行うべきであり、今後は安全協定等をもって対応すべきである。
(2)廃炉作業は十分な安全対策を講じるべきである。
国への要望事項のPDF版は、要望書 [PDFファイル/136KB]をご覧ください。